日々の業務の中で使用している各種溶剤、塗料、シール材など多種多様ありますが、新製品として出てくるものもあれば、リサーチはしているものの私の知らなかったもの、海外で使用されている物など今まで使っていなかった物も多くあります。
定期的に新製品や今まで知らなかった物をテストして、よりいい物を使用出来ればと思っていますが、密着性や膜厚特性などすぐに結果の分かるものはいいのですが、耐久性(特に防錆性能は最重要です)は時間の経過と共に能力差が出てきますので、テストもそれなりの期間かかります。
もちろん各メーカーは塩水試験や摩耗試験、密着係数、引っかき硬度等、各種テスト結果を持っていますので、事前にそれらの情報は頂くのですが、それら試験結果だけでは判断できない事が多く、またそこが重要だったりします。
例えば塩水噴霧試験は塩水を対象物に噴霧し腐食が目視できるまでの時間を計測していますが、対象物が鉄と言っても色々な素材もありますし、全く錆のない鉄と、多少錆の残っている鉄とでは結果も変わってきます。
その為、当社では今までに修理してきた車両のボディパネルの一部に溶剤を散布して放置して経過観察を行っています。
錆がそのままの状態の物からブラストして錆を取り除いた物、少し錆が残っている物などに各溶剤を散布して、経過を見ます。1年で錆が確認出来なくても3年で出る物から、5年経っても錆が確認できない物など色々をあります。
今回のその一部のウレタンコート(チッピングコート)のテストを一部紹介します。
これはボディ下回りに塗装している物で、主にタイヤで巻き上げる飛び石からボディを守っています、飛び石で塗装が剥がれるとそこから錆が発生します。新車製造時にも塗装されていますが、その範囲は限定的で特に高年式になるほどその範囲は少なくなります。

赤線内の部分にウレタンコート(アンダーコート)が新車時からの散布範囲です。*画像はBNR34です。
新車時から塗られていない部分をアップで見ると
このように点錆が発生しています、錆は少ないように見えますが、
少し塗装を剥ぐとその下のは植物の根のように進行した錆が出てきます。
腐食の酷い車両は純正のアンダーコートの下にまで錆が進行してきます。純正のアンダーコートは非常に優秀ですが、新車製造時には一切錆のないパネルに散布しているので、中古車に散布するよりいい条件であることは間違いないです。
ようやくテストの説明に入りますが、
まずは修理の為に交換したBNR32のパネルの一部に
3社のウレタンコート(チッピングコート)を散布します。
その上にボディに塗るのと同じ塗料を塗装します。(剥がれが確認しやすいように黒にしました)
飛び石の再現にはサンドブラストを使います、地金が出るまでサンプルをブラストします。
サンプルAは一部地金まで剥がれています、
サンプルBはAよりも地金に到達するのが早かったです。
サンプルCです。
アンダーコート剤に求める一つの性能テストですが、この耐チッピング性能は重要です。
あくまで当社の独断のテストですので、どのサンプルがどのメーカーのどの製品かは明かせませんが、地金に達するまでの時間にはかなりの差がありました、ただし価格にも大きな差があり一番高価なものと一番安価な物とで約5倍の価格差がありました。
錆び取り剤、錆止め溶剤等、多種多様な溶剤、材料を使用しながら車両の製作を行っていますが、このようなテストを定期的に行い、また長期間放置テストも並行して続けております。