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2024/04/24BNR34 事故再修理
2024/04/24BNR34の事故歴有り車両の再修理を行いました。
事故内容はこの後説明しますが、ボディの修理と言うと業務的に板金塗装のイメージですが、外装の板金修理以上のダメージがある場合や、そのダメージがあるかどうかの確認の為には足回りの分解や、エンジンの脱着が必要になりますので、分解整備の技術も必要になります。またそのような作業を行う為には陸運支局からの認証を得る必要があります。
まずは現状の骨格の状況を確認します。再修理と言う通り以前に修理されており、いわゆる修復歴有り車両になります。コアサポートは交換されていました。
計測していくと、左メインフレームの先端で右側に6ミリ、後ろに4ミリ、上下方向に3ミリのズレがあります。もちろん組立公差もありますので、事故がない車両でも全て0になることはありません、1ミリ~2ミリ、場所によっては3ミリ程度は差が出ます。
さらに計測を進めていくと右メインフレームがエンジンメンバー取り付け部より左側と同じく右に曲がっています。
修正の為にジグ式フレーム修正機に車体を乗せます。BNR34のジグになりますので、寸法が異なる部分は固定することが出来ません、
見えにくいですが、フレームが曲がっている為、フレームの穴と下のジグの穴が一致しません、
本来なら入るはずのボルトがジグに接触して固定することが出来ません。
今回の修理ですが、以前から何度もブログにて書いておりますが前の修理が不完全であったかどうかは、現段階では判断できません。もちろんフレームの変形に気づいていなかった可能性や、知ってはいても修正出来る修正機や技術が無かったので、コアサポートを帳尻合わせで取付て、なんとか外装をつく状態にしていた可能性もありますが、
オーナー様の予算や意向でそのような修理になったかもしれません、「予算は少ないけど何とかもう一度走れるようにして欲しい」と以前のオーナー様が修理工場にお願いしてそれを工場側もくみ取ってこのような修理をしていると言う事も考えられるわけです。
今回以前の修理部分ももう一度キッチリと修理したいと言う現オーナー様の依頼で再修理する事になった次第です。
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2024/04/17BNR32 161号車はR32定番のジャッキアップポイントの修理フロント側を始めます、
外から見た感じでは少し付き上がってる程度ですが、製造から数十年も経過している車両ではシール材が硬化しており、ひび割れたりしてそこから水が進入します。
家の外壁などでも10年~15年くらいでシール材の再施工など行っているのではないでしょうか、何十年も使用する家では一般的な補修作業の一つだと思います。
しかし車は10年程度の使用期間が一般的ですので、シール材の劣化やそこから起こる水の侵入などあまり注目されいないように思います。
今回のBNR32のように突き上げ自体は軽症でもシール材の劣化による水の侵入は内部で錆を発生させてしまいます。
古い車の錆には多くの方が敏感になっていると思いますが、その原因にも興味を持てば何故錆びるのかが分かりますし、そうすれば対策も出来ます。
ではこのBNR32の場合は、
室内側にはこのように穴が空いていました、
この部分はパネルが重なっている個所でシール材がひび割れると浸透圧で水が進入してきます。
パネル自体の変形はわずかですが、その変形によりシール材がひび割れています、シール材も新しい内は柔軟性がありある程度の変形に追従できますが、経年劣化で硬化すると追従できないどころか、動きの少ない箇所でもひび割れます。
香港からの一時帰国
2024/04/12BNR32 161号車 8
2024/04/04BNR32 161号車は、板金を進めながら塗装の下処理も進めています。
あちこちに塗装の剥離がはじまっています、この症状は白色の車両に多いです、現在問題無いように見える塗装面も実は剥離寸前なんてことも十分に考えられます、そのような塗装の上に如何に見た目を綺麗に塗装を重ねても下地から剥がれてしまっては意味がないので、そのような劣化した塗装は剥がしてしまいます。
本来金属面を空気中に露出されることは良くありません、錆び腐食やその以外にも塗装トラブルの原因を作ってしまう可能性があります、しかし塗装にも寿命があり紫外線や度重なる研磨、それ以上に単純に数十年の経年劣化で上面塗装だけでなく下地塗装にまでダメージが及んでいる場合は、やり直すしか方法はありません。
特に再塗装されている車両はどのような工程で再塗装されているかに分かりませんので、その上にさらに塗装を行う事はリスクを伴います。
ある程度年数が経過していたり、劣化が進んでいる塗装は剥離するのがベストかと思いますが、単純に剥離工程が増えるだけでなく、下地処理の工程も増える為、費用は大幅に増加します。
さらに過去に凹みや板金されているパネルはパテも使用されています、こちらの車両もフロントフェンダーには大小合わせて10個近いエクボや凹みがありましたが、それらは塗装剥離前にデントリペアで修理しています。
凹んだままの箇所はそのままデントリペア可能ですが、すでにパテ埋めされている個所は一度パテを取り除いてデントリペアの為(艶を出して光を反射させ凹みを見やすくする)に仮塗装を行い、その上で凹みを修理して、再度塗装剥離を行います。
そうすれば、次はパテを使わず塗装が行なえます。
旧塗装に足付けをしてそのまま塗装するのも、塗装ですし、このように旧塗装やパテを取り除き板金処理後、下地塗装から仕上げていくのも塗装です。
どこまで求めるかで方法や費用は大きく異なります。
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2024/04/02パウダーコート
2024/03/30当社ではサスペンションメンバーやアーム、ヘッドカバーなどの塗装にパウダーコートを使用しています。
パウダーコートとはその名の通りパウダー(粉)でコートする塗装になります。専用のパウダーと対象物を電位差により付着させてその後、高温でパウダーを溶かして密着させます。
スプレーガンで塗装する通常の溶剤塗装に比べて、耐摩耗性、耐衝撃性、耐溶剤性に優れています。一般的な使用例としては道路のガードレールなどパウダーコートです、紫外線や雨にさらされながら一切のメンテナンス無しで驚異の耐久性だと思います。
こちらは当社で10年前に溶剤による結晶塗装を行ったヘッドカバーです。塗膜の劣化により高圧洗浄機の水圧で劣化した部分から剥がれてしまいました。オイルやその他溶剤の付着する可能性も高くまた高温にさらされるエンジンルーム内ではどうしても塗膜の劣化を早めてしまいます。
その後導入したパウダーコートにて再施工します。まずはブラストにて旧塗装を剥がしてパウダーコートします、専用塗装ガンより電位を帯びたパウダーが噴霧されます、
吸着後はパウダーが電気的に引っ付いているだけですので、触ると簡単に取れてしまいます。
これをまた専用の焼き付け窯にて、約200度の高温にて焼き付けすると、
パウダーコートが通常の溶剤塗装より優れているという訳ではなく、優れている点を理解し適材適所での使用が望ましいと言う事です。
オイルやパーツクリーナー等の溶剤、プラグ交換時やその他整備における工具の接触、排気側からの高温など使用される環境に対してそれに見合った塗装方法がいいと思います。
耐衝撃性と放熱性をもった塗料もありそれに適した箇所への施工が可能です。こちらはセラコートと呼ばれる溶剤塗装です、1000度以上の耐熱性や放熱性、防錆性など色々な特性があります。
セラコートに関しては以前よりテストを進めており、より深く理解するために、先日
アメリカ本国にて講義とトレーニングを受け、本国認証店となりました。セラコートについてはまた次回ご紹介させていただきます。