「塗装剥離と電着塗装」 BNR32 046号車 1

2015/10/04

この度、新メニューとしまして、今までの「リフレッシュ」よりさらに手を加えた、

「リメイク」「リセット」をテーマにした作業に着手します。

 

ベースとなる車両は、十数年前に災害に会いその後、保管され続けていた車両です。

その車両の復活をご依頼いただけたことに、まずオーナー様に感謝致します。

 

今回当店ではパートごとにテストは重ねましたが、実車両では初めての施工になる部分もあります。

以前までは、初めての材料、技術、方法はまず自身の車両にて施工し、実現と確認が出来てからユーザー車両に施工開始するようにしてきましたが、今回は046号車オーナー様に大切に保管していた車両の復活を託していただき、今までの作業以上に気の引き締まる思いです。

 

作業を開始するにあたり、オーナー様にはまず託して頂いたことにお礼を申し上げます、

「ありがとうございます」。

271041車両とのご対面。誇りの体積具合が保管されていた時間を物語っています。

IMG_0580まずは全ての部品を取り外します。

IMG_0590早速ブラスト作業を開始します。

 

今回当店にて導入した塗装の剥離方法ですが、「ウェットブラスト」を導入しました。

 

新メニューにて詳しく説明させていただきますが、ウェットブラストとは液体と研磨剤(メディア)を一緒に対象物に吹付け、塗装やサビなどを剥離することです。

 

この液体を使うことが特徴で、水を防錆剤にして行う二次的な処理が可能なことが大きな利点です。
つまり液体(防錆剤を含む液体)に包まれた研磨剤が対象物に衝突し剥離した後、空気に露出した鉄板部分が触れる前に防錆剤にて保護できるのです。

 

さらに液体が対象物に研磨剤との衝突から起こる摩擦熱を持たせません、これはルーフやフェンダーなどの薄く面の大きなパネルが熱により歪むのを防いでくれます。
また使用できるメディア(研磨剤)がウェットブラストの場合非常に小さなものを使用できるので、対象物に必要以上のダメージを与えません。
パネル部分にされている刻印などドライブラストでは、削れて見えなくなってしまう場合がありますが、ウェットブラストでは綺麗に残ります。

また非常に小さな研磨剤を対象物に当てて行うことにより、表面が均一に荒らされた状態となり、グラインダーや、ブラシ、ペーパーなどで
削った状態よりはるかに、上に塗る塗料の食い付きが良くなります。

つまり、対象物に熱を与えず、塗装、サビを除去し、必要以上に切削せず、液体により、露出した部分の防錆処理が同時に行えるということです。

IMG_7585以前に作業した車両ですが、BNR32のサビの発生の定番ポイントである、ドアヒンジ裏の部分です。ドアを支える部分ですのでパネルの厚みもありますので、多少削っても大丈夫ですが・・。

IMG_7595ワイヤーブラシやグラインダーを使い削り取るのですが、その場合、周囲の鉄板ごと(要は錆びていない部分ごと)削り取る必要が
あります、範囲が小さい場合はいいですが、広範囲ですと周囲の鉄板も薄くなり、また入り組んだところなど器具の形状の問題により除去できない
部分が出てきますので、切り取るしかありません。
新品でパネルが販売されている場合はいいですが、第2世代GT-Rのパネルパーツはこれから生産廃止など出なくなっていく傾向ですので、
新品なパネルがなくなった場合、既存のパネルはできる限り残しておきたいです。

IMG_0601こちらも定番のサビ発生ポイントボンネットヒンジの裏です。このようなサビを

IMG_0607ウェットブラストにて処理します。

IMG_0611ほとんどサビのみが除去できているのがわかると思います。パネルへのダメージは非常に少ないです、ネジ山も綺麗に残っているのがわかると思います。

重複しますが、このように、ボディへの切削、熱によるダメージを出来る限りすくなく、また塗装の剥離、特に下地にある新車時からの電着塗装を剥離することによる、サビ発生へのリスクを減らし、理想的な、塗装、サビの除去が行えます。

 

ボディ全ての塗装の剥離が出来ましたら、塗装の工程に進みます。