BNR32 事故再修理、ジグ式フレーム修正機

2021/06/27

BNR32の事故歴有り車両の再修理を行います、今までも事故車両の修理は行ってきておりましたが、その車両にとって初めての事故である場合は事故現状であれば、損傷個所は比較的わかりやすいのですが、年数がたつにつれて過去に修復歴のある車両の再度の事故も多くなってきています、

当然一度でも事故、修復した車両は、事故歴無しに戻ることはありませんので、今後も増える一方です。

また年々価値が上がり続けている第2世代GT-Rですので、少々の事故では今までのように廃車にして乗り換えというわけにもいきませんし、個人的にも廃車にしたくありません。

 

そこで今後の事故修理や事故歴有り車両の再修理、また修理だけでなく、ボディの状況確認やリビルトボディの製作にも役立つと思い、ジグ式フレーム修正機を導入しました。

以前に導入した三次元計測機と合わせて、計測から修正を行う事でより良いボディ製作が出来ればと思います。

IMG_1659こちらの車両は以前に買取させて頂いた車両で、オーナー様より事故車両で修理もキッチリ出来ていない車両だと伺っております、今までこのような車両はドナーにしてきておりましたが、ドナーにするのを辞めて復活させようと思います。

外装はそれなりに見えますが・・・・、

IMG_1664まずは分解です。

 

IMG_1735メーカーから出されている寸法図があるのですが、以前まではこの寸法図を元に定規で計測します、基本的には文房具と同じような物差しで測るために2点間の距離しか測れず、計測ミスや誤差も出やすい為、かなりの時間を計測にかける必要がありました(時間をかけたからと言って正確になるわけではありませんが、少しでも制度を上げる為には重複した確認が必要です。)さらに図の下にあるフロアの高さを測る箇所などは、

001この基準線が水平かどうかが非常に重要で歪んだ床の上で計測して修正や組み立てると歪んだボディが出来上がります、もちろんそうならないように色々な水平計測ゲージがあり、さらにレーザーを飛ばしてそれを基準線にしたりと工夫しますが、個人的な感想としては不安要素は残ります。

 

 

そこで計測には2点間の距離計測ではなく、三次元計測機により距離と高さも同時に計測します。

さらに修正やボディの組みたて作業においては、

IMG_1730今回導入したジグ式を使用します。

今まで使用していた床式の修正機との違いはまずは床式の場合は床への機材の設置精度がそのまま仕上がり精度になりまた、常に計測を行いながら修正もしくは組み立てる必要がありましたが、このタイプでは、まず下のフレームが重量にして1トン以上の鉄骨でできており、床の平面制度に関係なくこの上がフラットな底盤となります。

 

自動車メーカーの製造ラインと同じ考えです、この上で車を組み立てることで、同じ寸法の車両を何台も正確に生産できます。

修正、組み立ての基準をその車両自体のどこか、

から導き出すのか、この治具を元に修正、組み立てるのかの基準点の違いです。

IMG_1720土台の上にこのように車種ごとに決められた治具があり、この治具に車体が問題なく乗るという事は、前後、左右、上下、三次元全てにおいて骨格が正確であるという証拠です。

IMG_1715ちなみにこの車両はフロント事故ですので、リアは問題なく乗りましたが、フロントはこのように上下にも左右にも前後にもずれています、寸法を測るまでも無く骨格がずれていることが分かります。

IMG_1665右フレームですが、

002この部分で曲がっています、第2世代GT-Rの骨格では特に弱い部分で前からの事故の場合ここがすぐに曲がります、

IMG_1667左側も

003同じ個所で、

004折れ曲がっています、

 

IMG_1721まずは右側のフレームから修正します、

IMG_1726

これで修正完了です。車両製造時と同じ寸法になりました、すると、

IMG_1736フレームの曲がりも治りました、

IMG_1748左側も治りました、

これでフレーム関係の修正は完了です、家で言うところの基礎部分です、家と同じく車もまずはこの土台部分が最も重要です、修正完了なだけでなく、この治具上に車体を固定しているので、これから上部の修正を行っても下回りの重要な部分は指定の位置に固定されたままですので、安心して上部の修正を行えます、

IMG_0001

ボディ上面ももちろんメーカーからの寸法情報がありますので、これを元に修正します、しかし当店で今回導入したフレーム修正機では主にアンダーフロアの計測、固定が出来ますが、ボディ上面は計測出来ないので、そこは、

IMG_1750三次元計測機で前後、左右、上下を同時に計測し、計画な位置に修正ます。

 

ボディ、フレームの計測、修復には様々な方法があり、最終的にはしっかりと修正できていればそれでOKです、しっかりと修正、組み立てができるのであればそこまでの方法は何でもいいです、今回当店ではこのジグ式フレーム修正機と、三次元計測機を併用して行う修正、組み立てが現段階でベストと判断しました、

 

今後コンプリート車両、リビルトボディの製作に活用していきたいと思います。