BNR32 055号車 「塗装剥離と電着塗装」 13

2016/03/11

055号車の電着塗装が実施されました。

2803121治具にセットされ、これから塗装ラインに入っていきます。何度見ても新車の製造ラインにもう一度BNR32が入っていくのはいいですね。

「本当に欲しい車をもう一度新車状態で手に入れたい」と思ったのもこれに取り組んだきっかけの一つです。

おそらく全国各地にまだ新車状態、未使用のBNR32は眠っているでしょうが、まさしく眠っているだけです。そんな車両を手に入れてももったいなくてなかなか走らせることはできません。

 

ですが、乗りたい時に乗りたいだけ乗った車両でもこのようにもう一度復活させることが出来れば、今後もいつもでも乗り続けることができるのではないでしょうか。

 

私はこのBNR32を新車に戻せるわけでも、新車のようにしたいわけでもありません、ただ古い車だから、距離が多くなってきたから、錆びてきたから、事故をしたからといった理由で、諦めたくないだけです。

2803114一言塗装といっても、鉄板状態からの処理が必要ですので、全13工程あります。

2803112角度をかえながらまずは洗浄槽に車体を入れていきます。当社にて塗装をはがした跡、鉄むき出しの状態ですと空気中の水分であっという間に錆が発生します。

 

それを防ぐためにウェットブラストにて塗装を剥がしてします、ウェットブラストのウェットの部分はもちろん水でもできますが、液体であれば基本的になんでもいいので、防錆性能のある水溶性の薬品を使います、

その為塗装を剥がす瞬間にも鉄は空気に触れることなく、保護されます。

その保護液をこの洗浄槽で洗い流します。

2803123次に薬品槽に入れて金属の表面を調整します。つまり薬品で価格的に行う、足付けです、これでこのあとの塗装の密着をあげます。通常の塗装ですと、人の手でペーパー等をあてて行う作業です、ここでも人の手で行うより、漬け込むので当然隙間なく処理できます。

 

人の手であれば、にきっちりと出来るところもあれば、このように機械や設備の方がはるかに優れている部分も車両の制作工程にはあります。

私の思う理想としては、大規模な設備で優れている部分はそれを利用し、各部の処理や、例えばシール材の充填であったり、アンダーコートの塗装などは、ライン作業より人の手で行った方が正確にできる部分は人の手で行い新車時よりいい部分もある車両を作り出せればと思います。

 

ついでに中古車でBNR32のように製造から30年近くも経ち、尚且つ現在、現役で走行している車両も数多くある車種ならではの、対策もできます。

これはメーカーもできなかった部分だと思います、いくら製造前の開発段階でテストを重ねても、10万キロ、20万キロ、30万キロと走行し、雨の中も雪の日も、実際に何十年と実用で走らせてきて見つかった弱い部分などは、実地テストでないと見えない部分も多くあったのではないでしょうか。

そういった部分を対策処理した上で再度、新車時にしか施工できなかった電着塗装を、行うことにより最終的に新車以上を目指したいです。

今回の055号車にしても、フレームやパネルに強度不足でクラック等入っている車両が多い箇所には補強を入れています、溶接補強を入れることは以前では、サビの原因となりますので、むやみには施工できませんでしたが、もう一度電着塗装することにより、その心配もなくなります。

2803124

各工程の間にこのように洗浄液槽に一旦入れて

2803113さらにそれを洗い流してを繰り返します。

2803125そしていよいよ電着塗装を行います、塗料と、ボディに異なる電位をかけて電気的に密着させます、これによりピンホールや塗膜の厚みの違いが出ることもありません。

2803116さらに洗浄後、180度の高温釜で約1時間焼き付けて完成です。

 

055号車はリアフェンダーとサイドステップは新品に交換したので、新品パネルの黒い電着塗装ははがしておりません、その為電気ととおりませんので、新品パネルの部分には今回の電着塗装による塗料はついておりません。

IMG_4473車両を積載車に積み込んで持って帰ります。このあとは人の手による作業です。

 

カチオン電着塗装へのお問い合わせは

 

ガレージヨシダまで

0745-60-7513