KGC10 ハコスカ 電着塗装 パート2 塗装編

2020/06/06

パーツ1に続いて、ノスタルジックガレージ様よりご依頼のハコスカのレストアの続きです、

まずは電着塗装について、

 

当社がBNR32GT-Rの電着塗装を行った理由は中古車ももう一度新車製造ラインで電着塗装(ドブ漬け)すれば新車のようによみがえるのでは、との思い付きからです。約6年前の事ですが、それから数台のBNR32を電着塗装してきました。

 

「R32GT-Rを復活させる」という大きな夢は多くの方の協力を経て「究極の下地塗装」という意味では実現できたと思います。

 

一つの夢の実現の瞬間から、すぐにもう一つの夢が出来ました、「もっと古い車両を現代の技術で復活させたい」

 

古い車と新しい車で何が違うのか・・・ということにで少し電着塗装について

(以下は個人的に調べた事柄ですので、事実と異なる可能性もあります)

量産性、塗料の回収効率、塗装性能様々の要因から、塗料の水溶化技術を応用した電着塗装は1963年にフォードが初めて自動車のボディに実用化し、その後自動車業界に急速に広まりました、この時の電着塗装はアニオン電着塗装と呼ばれ、日本では1964年にマツダ自動車が初めてアニオン電着塗装を採用、

1970年には日本の自動車メーカーのほぼ100%でアニオン電着塗装が採用されています、

そして1973年頃から日本の自動車産業は北米、欧州への本格的な輸出を開始しますが、輸送時に発生する小傷などが貨物船輸送中の高温多湿な環境とさらに

海水による湿気などから到着したときには既に錆が発生し、これをジャパニーズラスト(日本サビ)などと呼ばれ輸出先からクレームが多発し、日本の自動車業界は対策を講じて、1977年アニオン電着より防錆性能に優れる「カチオン電着塗装」が導入されます。

その後現在では自動車の電着塗装は100%カチオン電着で行われいます。

 

アニオン電着とカチオン電着についてはまた次回、機会があれば触れさせていただきますが、要は材料、工法ともに「アニオン電着塗装」より

防錆性能に優れているが「カチオン電着塗装」です。

 

それで、年数を見ていくと・・・。

 

1970年にアニオン電着は始まり、

1977年に錆対策としてカチオン電着導入、

つまりカチオン電着塗装になったのは昭和52年からですので、少なくともKGC10ハコスカはアニオン電着塗装で製造されていることになります。

 

 

説明が長くなりましたがそこで「ハコスカをカチオン電着で復活させる」という夢、目標が出来ました、さらに言うと昭和46年製造のスカイライン

が現在、現行車両を製造している工程で下地塗装を行う!考えるだけでゾクゾクするのは私だけでしょうか、

5.水洗槽出槽-1早速ですが、塗装の前処理としてリン酸処理を行います、これで塗装の密着を良くします、

hako1続いていよいよ電着塗装を行う為、塗料の入った槽に入っていきます、

hako2塗料を内部に行きわたらせる為に動かしながら漬けていきます。

8.UF水洗-3そして水洗してから約200°の窯で焼き上げます。

 

ここまでくれば後は普通の車両と同じ工程で塗装、組み付けで完成です。

 

 

まだまだやりたいことは沢山ありますが、こうしてひとつひとつ夢や目標が実現できてうれしい限りです、それらすべてがご協力いただいた関係者様の

ご協力あってのことです。

本当にありがとうございます。これからも頑張り続けますので、よろしくお願いします。

 

ガレージヨシダ